国際バカロレアと呼ばれる International Baccalaureate (IB) は国際バカロレア機構 (IBO) が提供する4つの教育プログラムのこと。
Primary Years Programme | Middle Years Programme | Diploma Programme | Career-related Programme | |
簡単な説明 | PYPは、生徒中心の教育方法により、若い生徒を思いやりのある、生涯にわたる学習の旅に積極的に参加する者として育成することを重視している | MYPは、生徒に学習と実社会とを実践的に結びつけることを促す挑戦的な枠組みであり、どんな興味と学力を持つ生徒でも参加することで利益を得られるように設計されている | DPは、2年間のカリキュラムを通して、優れた知識の幅と深さを持ち、身体的にも知的にも感情的にも倫理的にも成長した生徒を育てることを目的としている | CPは、キャリア関連の教育に従事する学生のニーズに対応した国際的な枠組みであり、高等教育での実習や就職につながるように設計されている |
対象年齢 | 3〜12歳 | 11〜16歳 | 16〜19歳 | 16〜19歳 |
この中で私が経験したのは ディプロマプログラム(DP)なので、今回はこれについて書こうと思う。
ディプロマプログラム(DP)を学ぶメリット
私がこのプログラムを選んだ理由は、将来の選択肢を広げるために、世界の大学に通用する大学入学資格がほしかったからというのが1番大きかった。
IBのウェブサイトによると、DPの生徒は毎年約90ヶ国、3,300の高等教育機関に出願しており、これらの教育機関の中でも世界トップランクの大学が最も人気となっている。また、世界の主要な大学で認められ、尊敬されているこのプログラムを学んだ生徒は、IB以外の生徒よりも高い確率で大学や高等教育機関に進学していることが実証されている。
国際バカロレア資格を取得するには
まず、IBのディプロマプログラムを履修できる、国際バカロレア認定校に通う必要性があり、世界には3625校、日本には59校ある。
Find an IB World School のサイトで国や言語、寮の設備など条件を絞ってIB認定校を調べられる。
DPのカリキュラム
2年間のカリキュラムは、6つのグループからの選択教科に加えて、以下の3つのコアによって構成される。
- TOK (Theory of knowledge) と呼ばれる「知の理論」では、知識の本質と、自分が「知っている」と主張することをどうやって知るのかについて考える。
- 課外活動にあたるCAS (Creativity, activity, service) では、創造性、活動、奉仕の3つのコンセプトに関連したプロジェクトを経験する。
- 課題論文 (The extended essay) では生徒自身が選んだ研究課題について自主的にリサーチを行い、4,000語(日本語では8,000語)で1つのエッセイを仕上げる。
6つの教科グループ
生徒は6つのグループからそれぞれ1つずつ選び、計6つのうち少なくとも3つはハイヤーレベル (HL) 残りはスタンダードレベル (SL) を学ぶ。
また、6つ目の芸術分野のコースから1教科選ぶ代わりに、言語のコース、個人と社会、または理科の中から追加で学ぶことができる。
- 言語と文学 (Studies in language and literature)
- このグループには以下の3つがあり、第一言語でとる生徒が多い
- Language A: literatureは日本語も含めた55ヶ国語の中から
- Language A: language and literatureは17ヶ国語の中から
- Literature and performanceは主に英語だが場合によってはスペイン語とフランス語でも可能、SLのみ
- 学校によっては日本語を教えられる先生がいないこともあるため、確認が必要
- このグループには以下の3つがあり、第一言語でとる生徒が多い
- 言語習得 (Language acquisition)
- このグループには以下の2つがあり、第二言語として学びたい言語を選ぶことができる
- Literature and performanceはその言語を初めて学ぶ初心者向けでSLのみ
- Language Bはその言語を多少学んだことがあったり使用した経験のある生徒向け
- このグループには以下の2つがあり、第二言語として学びたい言語を選ぶことができる
- 個人と社会 (Individuals and societies)
- 経営学 (business management)
- 経済学 (economics)
- 地理 (geography)
- グローバル政治 (global politics)
- 歴史 (history)
- 情報テクノロジー (information technology in a global society)
- 哲学 (philosophy)
- 心理学 (psychology)
- 社会と文化人類学 (social and cultural anthropology)
- 世界の宗教 (world religions) SLのみ
- 環境システムと社会 (Environmental systems and societies) SLのみ グループ3と4両方に属する
- 理科 (Sciences)
- 生物 (biology)
- コンピューター科学 (computer science)
- 化学 (chemistry)
- デザインテクノロジー (design technology)
- 物理 (physics)
- スポーツ、運動、健康科学 (sports, exercise and health science)
- 環境システムと社会 (Environmental systems and societies) SLのみ グループ3と4両方に属する
- 数学 (Mathematics)
- 数学は必修で以下の4つのレベルから選ぶことができる
- 分析とアプローチ(analysis and approaches) SL
- 分析とアプローチ (analysis and approaches) HL
- 応用と解釈 (applications and interpretation) SL
- 応用と解釈 (applications and interpretation) HL
- 数学は必修で以下の4つのレベルから選ぶことができる
- 芸術 (The arts)
- ダンス (Dance)
- 音楽 (Music)
- フィルム (Film)
- シアター (Theatre)
- 美術 (Visual arts)
評価と試験
国際バカロレア資格を取得するには、上で話したDPカリキュラム(3つのコアと6つの選択教科)の履修、そしてそれらの内部評価(校内)と外部評価(IBO)で最終的に45点満点中少なくとも24点が必要。
6つの選択教科の配点は各7点満点で合計42点。残りの3点はコアの内のTOKとEEの総合評価によって与えられる。
外部評価
客観性と信頼性の高さから試験がIBによる評価の基礎となっている。
試験に含まれるものは
- essays
- structured problems
- short-response questions
- data-response questions
- text-response questions
- case-study questions
- (めったにないが)multiple-choice questions
これらに加えて、TOKのエッセイとEEは校内の教師の監督下で長期間をかけて完成させられた後に、IBによって最終的な評価が行われる。
内部評価
校内の教師による評価に含まれるものは
- oral work in languages
- fieldwork in geography
- laboratory work in the sciences
- investigations in mathematics
- artistic performances
評価方法
2年間のカリキュラムを通して、生徒がどのくらい「基本的な能力」と「高度な学術的な能力」を身につけられたかを測定するために、基準となる目標をIBが定めている。
「基本的な能力」には
- 知識の定着 (retaining knowledge)
- 主要な概念の理解 (understanding key concepts)
- 一般的な手法の適用 (applying standard methods)
「高度な学術的な能力」には
- 情報の分析と提示 (analysing and presenting information)
- 議論の評価と構築 (evaluating and constructing arguments)
- 創造的な問題解決 (solving problems creatively)
が含まれている。
ただ、教科ごと、またそれぞれの課題の内容ごとに細かい採点基準が設定されているため、どのような能力の提示がそれぞれの試験等で求められているかはしっかり確認する必要性がある。
アイキャッチ画像: International Baccalaureate Organization. (n.d.). https://www.ibo.org/programmes/diploma-programme/
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