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【シンガポールの高校受験】現地でのAssessments (査定)について

前回の記事「シンガポールの高校受験 入学手続きの概要について」で、高校1年生(G10 FIB)として入学するときの5つのステップについて話した。

今回はその中のStep 2: assessments and interviews(査定と面接)のうちの査定について、私の体験談を話そうと思う。

3月14日、実際にシンガポールへ行き、UWCSEAの学校内で数学と英語の試験、校内の見学、他の志願者とのアクティビティを丸一日かけて行った。

map from Changi Airport to UWCSEA
シンガポールのチャンギ国際空港からUWCSEA Dover Campusまでの距離と車での所要時間(Google Maps)

当日は8:00にUWCSEA集合だったのだが、ANAの東京発の夜行便で朝の6:35にシンガポールのチャンギ国際空港に着いた私は、そのまま学校へ直行して試験を受けるという、ぎちぎちのスケジュールを立ててしまっていた。その結果、間に合うのかという不安と手汗で入国の指紋検査に手こずり、集合時間ギリギリに到着する羽目になってしまったため、前日から余裕を持ってシンガポールへ移動しておくべきだったなと思う。また、受験ということで中学校の制服を着て行ったのだが、学生服での受験は基本的に日本の文化なためラフすぎないカジュアルな服装のほうがいいと思う。

校内の Admissions Office の建物に私を含めた志願者10名とその保護者が集められ、先生からの挨拶や説明が最初にあった。だが、中学レベルの英語能力だった私は、先生がなんて言っているのかさっぱりわからなかった。受験当日も、シンガポール留学を勧めてくれた母の知人に通訳をしてもらっていたのだが、緊張と英語がわからない焦りで何も頭に入ってこなかった。高校受験レベルの英語とネイティブの英会話では、まったくもって英語の意味が違うことを改めて知った。8:30から志願者は数学と英語の筆記試験を受け、保護者は学校案内を受けるために別行動となった。

数学の試験

まず、90分間の数学の試験から始まり、私は筆箱と使っていいと言われた簡易的な電卓(IBのカリキュラムを組んでいる高校の数学の授業や試験では、専用の計算機を使って解く問題が多々存在する)を持って席につき、配られた問題を時間内でできるとこまで必死に解いた。

左:試験当日に持っていったが全く使わなかった日本の電卓 右:UWCSEAで数学の授業や試験の時に使う計算機

11月に一度シンガポールを訪れた際に、IB(国際バカロレア)のスタンダードレベルの数学の問題集を買っていた。それを使って、予め英語の数学用語を勉強していたおかげもあってか、単語の意味がわからなくて詰まることはそれほどなく、それなりによく解けたと自分でも思うほどだった。

英語の試験

次に、1時間の英語の試験用紙と罫線の引かれた用紙が配られた。私の知っている英語の試験といえば、文法や単語の意味など知識を大量に聞いてくるものだったが、渡された見開き1ページの試験用紙には対話文のようなテキストとたった3問しか書かれておらず、「意外に少ないな」と思った。それもそのはず、すべての問題が記述式で、指定される文字数も問題が進むごとに増えていくという形式で、英作文なんて英検でしか書いたことがなかった私は一気に不安になった。「一旦、対話文を読んで問題を理解して落ち着こう」と思い読み始めたのだが、全く内容が入ってこなかった。知っている単語も少なからずあったはずだが、完璧に理解できた文は「Really?」の一言だけで、知らない単語やフレーズ、文の構造の多さに焦り、「やばい」と思った。他の志願者が紙に書いている音は聞こえるため、自分だけが英語を理解できていないという現実を改めて突きつけられ、「このままだと落ちるな」と思ってしまった。「それでも何かは書かないと」と思い、対話分の内容と聞かれている質問の意味を予想して、知っている英単語と英語表現を駆使し、可能な限り書いた。だが、そんな状態で指定の文字数に届くはずもないし、書いている内容もその文字数の足りなさをカバーできるようなものでもなかったと思う。

試験が終わると在校生8名ほどがピザとともに現れ、みんなでお昼休憩をとった。自分の英語力のなさを痛感していた私は、他の志願者や在校生に自ら話しかける勇気もなく、どうすべきか戸惑いながら適当にとったピザ一枚(苦手なハワイアンピザ)を食べていた。すると、在校生の女の子が「日本人?」と話しかけてくれて、久しぶりにちゃんと意思疎通ができる相手に出会えて、心からホッとしたのを覚えている。食べ終わった後は、在校生たちに校内を案内してもらいながら、その日本人の子から授業のことや課外活動のことなど色々と教えてもらった。「せっかくシンガポールに受験しに来てるんだから英語で話さないと」と思う人もいるかもしれないが、あのときの私にとっては日本語でコミュニケーションをとり確かな情報を得ることのほうが、精神的にも将来的にも大切だった。逆に、もしあの時日本語で話しかけてくれた人がいなかったら、英語の試験後から気持ちは沈む一方で、午後のアクティビティにも支障をきたしていただろうと思う。

午後のアクティビティ

アクティビティの内容は様々で、志願者のコミュニケーション能力や協調力、意見の伝達力、批判的思考力を問うものが多かった。いくつか例をあげると:

  • 全員で円を作って座り、一人ひとりが一単語を言って、全員で一文を完成させるゲーム
  • リーダーになった一人が、他の人達のポーズや位置を決めて、先生から渡されたお題を全員で表すゲーム
  • YouTubeの年齢制限と死刑制度についてのディベート など

どのアクティビティも経験したことがなかった私は、説明を理解することで精一杯だった。だが、先生も他の志願者もサポートをしてくれていた在校生も、私が伝えようとしていることをしっかり聞いて理解しようとしてくれて、上手く説明ができないもどかしさは感じたものの、英語が上手に話せないことに対する恥ずかしさや疎外感を感じることは全然なかった。むしろ、国籍の違う人たちと英語で意思疎通ができたことがとても嬉しかった。全てのアクティビティが終わる頃には夕方になっていて、解散した後に各々保護者と合流した。

この査定で問われていたことは基本的な数学・英語力だけでなく、いかに人とコミュニケーションをとろうとしているかという意志の強さだった。今までは小学校での単元別試験、国数理社の中学受験、中学校での定期テストなど、勉学の面でしか能力を評価されてこなかったため、人と関わるときの態度や自分の考えの表現方法を重要視されたことがとても新鮮であったと同時に、一人の人間としてちゃんと向き合ってくれているように感じられてすごく嬉しかった。

翌日の寮の見学については次の記事で書こうと思う。

アイキャッチ画像:UWCSEA. (n.d.). UWCSEA east campus – High school (G9–12). UWCSEA | International school in Singapore. https://www.uwcsea.edu.sg/east-campus/high-school-g9-12

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