前回の記事(シンガポールの高校受験 現地でのAssessments (査定)について)で、中学3年生の3月にシンガポールにあるインターナショナルスクール、UWCSEAの高校受験を受けに行ったことについて書いた。今回は、その翌日に行った学校と寮の見学について書こうと思う。
UWCSEAには写真左のDover Camps(ドーバーキャンパス(UWCSEA, n.d.))と右のEast Campus(イーストキャンパス(UWCSEA, n.d.))の2校があり、寮も両方のキャンパスに併設されている。
Dover(ドーバー) | East(イースト) | |
創設された年 | 1971年 | 2008年 |
全校生徒の数 | 3020人 | 2589人 |
生徒の国籍の数 | 83ヶ国 | 74ヶ国 |
寮生の数 | 168人 | 153人 |
都心(city centre)から車で約 | 20分 | 23分 |
チャンギ国際空港から車で約 | 32分 | 17分 |
最寄り駅(MRT) | Buona Vista | Tampines |
それぞれのキャンパスの創設された年や生徒の数など多少の違いはあるが、下の紹介動画からもわかるように教育のために整えられた環境と設備に大きな差はない。
ドーバーキャンパスかイーストキャンパス、どちらを選ぶかの希望を出願時に出せたのだが、とにかくUWCSEAに入学したかった私は「Both(どちらでもいい)」を選択していた。
だが、査定の日に丸一日過ごしたことでドーバーキャンパスに親近感が湧いたのと、日本の高校ではできない経験がしたかった私にとって自分とは大きく異なる背景を持った生徒の数は多いほうが魅力的だったため、ドーバーキャンパスへの入学を希望することを帰国後にメールで伝えた。また、寮の違いも決め手の一つだった。
寮について
寮はどちらのキャンパスにも併設されていて、寮生になれるのは中学2年生 (Grade 8) 以上で2021年現在は両キャンパス合わせて66ヶ国から来た321人が住んでいる (UWCSEA, n.d.)。どちらのキャンパスでも寮の運営方法や寮内で経験できることには違いよりも共通点の方が多いのだが、設備や部屋の割り当て方の点では大きく異なる。
ドーバーキャンパスでは、学年関係なく全ての寮生にトイレとシャワールーム付きの4人部屋が提供され、セキュリティロックのついたフロアによって男女が分けられている。
イーストキャンパスでは中学2年生と3年生 (G8&9) は4人部屋、高校1年生と2年生 (G10&11) は2人部屋、高校3年生 (G12) には1人部屋が与えられる。フロアは学年ごとで分かれており、ホテルのような個別のキーカードによってそれぞれの居住区へのアクセスが可能となる。男女別のトイレとシャワールームは建物の両端に設けられている。
高校1年生(G10)として入学するまで寮生活を経験したことがなかった私は、ルームメイトを持つことに憧れがあった。また、ルームメイトが多いと人と関わる機会が必然的に増えるため、英語や世界の文化に触れる時間も長くなる。それに、留学1年目は特にわからないことだらけだろうと思っていたので、質問や相談をできるような相手を見つけるのも、そんな関係を築くのも、ルームメイトが多いほうが有利になると思った。なので、学年が上がっても4人部屋のドーバーキャンパスを私は選んだ。
ただ、寮生は皆、異なる背景や文化や価値観を持っているため、同じ部屋で1年間を共にする中で多少の齟齬が生じる可能性も大いにある。勉学に重点を置きたい人は、学年が上がるごとにルームメイトの数も減るイーストキャンパスのほうが一人の時間を確保しやすいため、勉学にも集中しやすいのかもしれない。
見学を通して、どちらのキャンパスも生徒の教育に力を入れていることは、その設備の豊かさと先生と生徒の距離の近さからよくわかった。また、学校のホームページなど英語で書かれたものを読むことで得られた情報の量よりも、実際に校内の様子を見学したり生徒や先生とコミュニケーションをとったりすることで得られた情報の量のほうが遥かに多かった。UWCSEAは受験の際に学校に来ることが求められるため見学をする機会も与えられるのだが、オンラインのみでの受験が可能な学校の場合でも実際に現地に行ってから進学を決めることはとても重要だと思う。
この記事へのコメントはありません。